労働衛生に関する基本事項【労働衛生コンサルタント試験の頻出事項】

労働衛生に関する基本事項📝仕事・勉強

労働衛生における3つの管理である「作業環境管理」、「作業管理」、「健康管理」は、労働衛生コンサルタントや衛生管理者の試験では、必ず出題される問題です。
また、作業環境の測定法と管理区分および職業によって生じる病気についても知っておく必要があります。
しかし、労働衛生に関する基本事項について、わかりやすくまとまった記事は、ほとんどありませんでした。
そこで、この記事では、労働衛生コンサルタントの筆記試験・口述試験や第1種衛生管理者の試験で必要な労働衛生に関する基本的事項について解説します。

作業環境管理とは

作業環境管理は、以下のように定義されています。

作業環境中の有害因子の状態を把握して、できるかぎり良好な状態で管理していくこと

衛生管理者の実務 能力向上教育用テキスト

作業環境中の有害因子の状態を把握するために、作業環境測定が行われます。
その作業環境測定を行うべき作業場やその作業場における測定の種類が定められています。
また、作業環境中の有害因子が有害物質の場合には、それぞれの有害物質の管理濃度が定められています。

管理濃度とは

厚生労働省の職場の安全サイト(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/index.html)の安全衛生キーワードでは、管理濃度は、以下のように定義されています。

作業環境管理を進める上で、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、作業環境測定基準に従って実施した作業環境測定の結果から作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo12_1.html

上記の内容を読んだだけでは、よくわからない人も多いと思います。
「作業環境測定基準に従って実施した作業環境測定とは、どのように行われているのか?」、「管理区分とは何か?」といった疑問が出てくると思います。
そこで、これらの疑問に対する回答(作業環境測定の方法と管理区分)についてそれぞれ説明します。

作業環境測定の方法(有害物質)

有害物質における作業環境測定の方法には、A測定とB測定があります。
それぞれの測定法は、以下の通りです。

A測定一定の間隔ごとの空間(測定点:床の縦横6m以内ごとに等間隔に線を引き、その交点の床上50~150cmの位置)の作業場所における時間帯ごとの空気中の有害物質の平均的な状態を把握するための測定
B測定有害物質の発散源に近い場所でばく露されたり、一定の時間をおいて高濃度の有害物質にばく露されたり、有害物質の発散源とともに移動したりする場合など、労働者がばく露される有害物質の最高濃度を把握するための測定(A測定を補完するための測定)
物質における作業環境測定の方法

管理区分とは

管理区分は、以下の第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分に分けられます。
第1管理区分:作業場所の95%以上の場所で空気中の有害物質の濃度が管理濃度を超えない状態 = 作業環境管理が適切である
第2管理区分:作業場所の空気中の有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えない状態 = 作業環境管理に改善の余地がある
第3管理区分:作業場所の空気中の有害物質の濃度の平均が管理濃度を超える状態 = 作業環境管理が適切でない

A測定による管理区分

A測定による管理区分は、第1評価値と第2評価値を算出して、管理濃度との関係によって決定されます。
第1評価値:作業場所のすべての測定点の作業時間における空気中の有害物質の濃度のうち、高濃度側から5%に相当する濃度の推定値
第2評価値:作業場所における空気中の有害物質の平均濃度の推定値

下の表のように管理濃度が、第1評価値よりも大きければ第1管理区分となり、第2評価値以上第1評価値以下であれば第2管理区分となり、第2評価値より小さければ第3管理区分となります。

第1管理区分第2管理区分第3管理区分
第1評価値(高濃度側から5%)< 管理濃度第2評価値(平均)≦ 管理濃度 ≦ 第1評価値管理濃度 < 第2評価値
A測定のみによる管理区分

B測定による管理区分

B測定による管理区分は、以下の通りです。

第1管理区分 第2管理区分 第3管理区分
B測定値 < 管理濃度管理濃度 ≦ B測定値 ≦ 管理濃度×1.5管理濃度×1.5 < B測定値
B測定による管理区分

B測定も行って、A測定による管理区分とB測定による管理区分が異なる場合には、悪い方の区分に決定します。

有害物質による発がん

有害物質の中でも製造禁止物質であるベンジジン、β-ナフチルアミン、4-アミノジフェニル、4-ニトロジフェニル、ビス(クロロメチル)エーテル、ベンゼンや製造許可物質であるベンゾトリクロリドなどは、発がん性があります。
そのため、これらの物質による健康被害については熟知しておく必要があります。
主な有害物質と発がんとの関連を以下に示します。

尿路系腫瘍 ベンジジン、β-ナフチルアミン、4-アミノジフェニル、4-ニトロジフェニル、オルト-トルイジン
肺がん ビス(クロロメチル)エーテル、ベリリウム、ベンゾトリクロリド、石綿、クロム酸塩、ニッケル、ヒ素
白血病 ベンゼン
肝血管肉腫・肝がん 塩化ビニル
胆管がん 1,2-ジクロロプロパン、ジクロロメタン
主な有害物質による発がん

作業環境改善

作業環境測定によって作業環境管理が適切でないことが明らかになった場合には、作業環境を改善する必要があります。
その方法には、以下のようなものがあります。

有害化学物質の製造、使用の中止、有害性の少ない物質への転換

有害な生産工程、作業方法の改善による有害物質発散の防止

有害物質を取り扱う設備の密閉化と自動化

有害な生産工程の隔離と遠隔操作の採用

局所排気装置の設置

プッシュプル型換気装置の設置

全体換気装置の設置

作業行動の改善による異常ばく露と不要な発散の防止

https://www.kochis.johas.go.jp/infomation/topics/topics762

そのほかにも管理的な対策(立入禁止措置など)や有害物質に応じた有効な保護具を使用するといった対策が必要であれば、これらも実施します。

作業管理とは

作業管理は、以下のように定義されています。

環境を汚染させないような作業方法や、有害要因のばく露や作業負荷を軽減するような作業方法を定めて、それが適切に実施させるように管理すること

衛生管理者の実務 能力向上教育用テキスト

作業方法や作業姿勢が適切であるか、作業時間が守られているか、保護具等を適切に使用しているかなど労働者の作業を管理します。

健康管理とは

健康管理は、以下のように定義されています。

労働者個人個人の健康の状態を健康診断により直接チェックし、健康の異常を早期に発見したり、その進行や増悪を防止したり、さらには、元の健康状態に回復するための医学的及び労務管理的な措置をすること

衛生管理者の実務 能力向上教育用テキスト

上記以外に労働者の健康の保持・増進、労働適応能力の向上も含まれるようになりました。

まとめ

この記事では、労働衛生における3つの管理である「作業環境管理」、「作業管理」、「健康管理」の定義およびそれらのキーワードについて説明しました。
また、有害物質の作業環境管理の中で、作業環境の測定法と管理区分および有害物質による健康被害(発がん性)については、労働衛生コンサルタントの筆記・口述試験や第1種衛生管理者の試験の頻出事項であり、とても重要なポイントです。
みなさんのお役に立てればうれしいです。

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