ディープエコロジーって何?環境問題を解決するための新たな方法!

Deep ecology ♻️ エコ・節約

私たちは、生きていくうえで環境に少なからず影響を与え、現代社会では回復するのが難しい程度の環境問題を引き起こしています。
環境に与える影響を減らして環境問題を解決するには、私たちはどうすればいいのでしょうか?
その答えを見つけるためには、ディープ・エコロジーという思想・哲学が役に立ちます。
環境保護に取り組む「エコロジー」という言葉は、みなさんご存じだと思いますが、「ディープエコロジー」という言葉は聞いたことがない人も多いと思います。
ディープエコロジーは、あらゆる生命には価値があると考え、自然は人間が支配するものではなく、自然の本質的な価値を認める思想・哲学です。
この記事では、ディープ・エコロジーとは何か、なぜ重要なのか、そして日常生活でどのように実践すればよいのかについて紹介します。

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ディープエコロジー(Deep Ecology)とは?

ディープエコロジーは、1973年にノルウェーの哲学者アルネ・ネス(Arne Naess)が”The Shallow and the Deep, Long-Range Ecology Movement. A Summary.(Inquiry 16:95-100)”の論文で示したエコロジーの概念です。
ディープエコロジーは、あらゆる生命には価値があると考え、自然は人間が支配するものではなく、自然の本質的な価値を認める思想・哲学です。
1973年までの環境保護活動(Ecology Movement)は、先進国の人々のための表面的で浅い環境保護(シャローエコロジー:Shallow Ecology)であるため、本質的で深い環境保護(ディープエコロジー:Deep Ecology)と区別し、ディープエコロジーが重要であることをネスが提唱しました。

私は、ディープエコロジーを知ることによって、「環境問題は、人が生み出したものであるため、その本質的な解決には私たちの意識や行動を変えること(大量生産・大量消費の社会を変えることなど)が重要である」という考えに至りました。

ディープエコロジーは、環境保護は究極的には個人の自覚と覚醒が重要であることを示し、1990年代以降の全地球規模の環境保護運動に直接・間接に大きな影響を与えている。

wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/)より

ディープエコロジーの特徴(原則)とその重要性

ディープエコロジーには、以下の7つの特徴(原則)があり、これらの特徴からディープエコロジーの重要性を読み解くことができます。

ディープエコロジーは、
(1) 生命体や人間を、個々ばらばらな存在として捉えるのではなく、「相互連関的・全フィールド」(the relational, totalュfield)に織り込まれた結び目として捉える。
(2) 原則として「生命圏平等主義」(biospherical egalitarianism)をとる。
(3) 「多様性と共生の原理」を採用する。
(4) 「反階級の姿勢」をとる。
(5) 「汚染と資源枯渇に対する戦い」を進める。
(6) 「混乱ではなく、複雑性」を評価する。
(7) 「地方の自律と脱中心化」を支持する。

森岡正博. ディープエコロジーの環境哲学-その意義と限界. 『講座文明と環境14・環境倫理と環境教育』朝倉書店, 1996:45-69.

それぞれの項目について、私なりの解釈を加えて解説します。

(1) 相互連関的・全フィールド

ディープエコロジーでは、「人間を含む生物(動物・植物・微生物など生命を持つもの)は、互いに影響を及ぼしあって生きているため、それぞれを別々の生命としてとらえるのではなく、お互いにあみの目のようにネットワークのようにつながっているもの(全体)としてとらえること」が重要であることを示しています。
つまり、環境汚染は、さまざまな生物に影響を与えるだけでなく、人間にも影響を与えていることを認識することが重要です。

(2) 生命圏平等主義

ディープエコロジーでは、「生命圏(人間を含む生物が存在している領域)において、人間・動物・植物・微生物などは平等であること」を示しています。
つまり、人間が生きるために必要な分だけ食べること以外に、必要以上に食物を生産して破棄したり、「紙」を大量に消費するために森林を伐採したりすることは、生命が平等であることを無視していることになります。

(3) 多様性と共生の原理

最近は生物多様性の重要性が叫ばれるようになりましたが、1970年代からディープエコロジーでは、生物多様性の重要性を認識し、人間と人間以外の生物が共生していく世界を目指していくことを強調しています。

(4) 反階級の姿勢

人間が自然(ほかの生物)を支配し、自然を破壊することで環境問題が起きているため、ほかの生物と同じ階級にいることを人間は自覚することが重要です。

(5) 汚染と資源枯渇に対する戦い

文字通り、環境汚染や資源がなくなること(人間が消費する速度以上に天然資源は補給されないこと)に対して、私たちは戦っていく必要があります。

(6) 混乱ではなく、複雑性

ディープエコロジーでは、生命や自然環境は混乱しているのではなく、多様性があり、複雑に制御されていることを示しています。

(7) 地方の自律と脱中心化

地方社会で独自に環境をコントロールできるようにして、自己中心的な認識(環境保護に対しての正しい認識を持たないでいること)から抜け出すことが重要です。

ディープエコロジーの課題

このようにディープエコロジーは、私たちの生き方や価値観を変え、私たちの行動の指針になるような思想哲学と考えられています。
このディープエコロジーは、私自身にインパクトを与えた思想ですが、個人の意識や行動を変えて、社会を変えていくには、時間がかかり、困難を伴うと思われます。
例えば、個人においては、エネルギーを含めて消費を減らすことは、便利さや快適さを犠牲にする部分が出てきます。
また、社会においては、消費を減らしていくことは、経済成長においてはマイナスになります(本当に経済成長が必要であるかについても私たちは考えていく必要があると思います)。

これらの課題に向き合うためには、私たちは自己中心的な(エゴセントリック ego-centric )視点ではなく、生態系中心的な(エコセントリック eco-centric )視点を持つことが大切です。

ディープエコロジーの実践と今後の展望

ディープエコロジーについて、私たち一人一人が自然環境との関係性を見直すことで、パラダイムシフト(これまで当たり前と思われていた考え方や価値観が大きく変化すること)を起こすきっかけになります。
また、ディープエコロジーを通して、私たちにできることを実践する人たちが増えてくると思います。
ディープエコロジーを日常生活で実践する方法の一部を以下に示します。

  • 消費や廃棄を減らす
  • 再利用やリサイクルができる商品や再利用やリサイクルの商品を選ぶ
  • 環境に優しい商品(オーガニック商品、フェアトレード商品、地元産の商品など)を選ぶ
  • 必要のないもの、環境や他の生物に害を与えるものを買わない

今後は、このような自然と調和した生き方を規範として、社会を変えていく行動を起こす人たちも増えてくると思います。

まとめ

  • ディープエコロジーは、あらゆる生命には価値があると考え、自然は人間が支配するものではなく、自然の本質的な価値を認める思想・哲学である
  • ディープエコロジーは、私たちの生き方や価値観を変え、私たちの行動の指針になるような思想・哲学である
  • ディープエコロジーには課題があり、個人の意識や行動を変えて、社会を変えていくには、時間がかかり、困難を伴う
  • 私たち一人一人が自然環境との関係性を見直すことで、パラダイムシフトを起こすきっかけになる
  • ディープエコロジーを通して、私たちにできることを実践する人たちが増えてくる
  • その生き方を規範として、社会を変えていく行動を起こす人たちも増えてくる

この記事を読むことによって、自然とのつながりを深め、よりエコロジカルで倫理的な生き方をするきっかけになれば幸いです。

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